私が美術館に通うようになったのは二十歳前。
仲の良かった友人が油彩をしていて、ルネサンス期前後の美術館展に誘われたのが最初でした。
葡萄の房が本物のように見えるかどうかは
光が当たっていることを示す白い点にかかっていると教えてくれました。
人の瞳の中にも同じような白い点。
これで生き生きと見えるかどうかが大きく違ってくるのだと。
絵のことなんか全く興味のなかった私には、それだけでもうびっくり。
中世の絵画では特に光が重要なので、光と影をどう描き分けるかのお手本になるのだそうです。
たった葡萄ひとふさが何年もの興味につながるなんて、
きっかけはどこに転がっているか分かりません。
隣の部屋でやっていた抽象画のことは、友人は「どこがいいのか分らない」と。
でもその時、私は、色と形のバランスがとても面白いと思ったのです。
言えなかったけど。
今でも抽象画は好きなので、最初の感覚は当たっていたことになりますね。
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