降り積もった雪の、上の雪、寒いだろう。
下の雪、重たいだろう。
そして真ん中の雪はさみしいだろう。
そういう詩だった。
いったい誰が真ん中の雪のことを思ったりするだろうか。
誰も思わない真ん中の雪が寂しいと感じるこの女性の心の中は
どんなにか孤独でいっぱいなのだろう。
当時福岡で一番大きな書店だった天神の紀伊国屋に問い合わせても
東京に注文しなければないという。
その一編の詩の他はどういうものかも分らない。
買うことはやめ、それはあやふやな記憶となり、そのまま薄れていった。
2003年の金子みすゞ生誕100年を迎える数年前から
急にメディアで取り上げられるようになって、またあの詩のことを思い出した。
詩のコーナーがある書店でみすゞの本が見つからない店はないくらいになっていたが
ネットで検索した。
最初に見た時の、肺を裂かれるような衝撃はなくなっていた。
深い雪も長いあいだ日に当たっていると溶けてしまうらしい。
「積った雪」 という題だということはわかったけれど。
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