無知な私は「洗い張り」というものを全く知りませんでした。
知っていたのは丁度読んでいた青木玉の「幸田文の箪笥の引出し」の
中に出てくる洗い張りのシーンだけ。
秋から春まで着る袷(あわせ)を梅雨のうちにほどいて洗う。
洗って干して乾かして取り込み、板張りが始まる。
ふのりを千切って水に浸し、煮溶かし、こし袋に入れて絞る。
のりは張る布に合わせて濃度を調節する。
布にのりを付け、張り板に拡げていく。
板の表に張ったらひっくり返して今度は板の裏にも張る。
張り板は太陽に当たるよう一日中移動させる。
こうやって汚れも取れ、水を吸って生き返った生地は
また着物に仕立てられていきます。
こんな気の遠くなるような作業をこの平成20年にやったの?!と
それはもうびっくりしたのでした。
御存じの方もいらっしゃるでしょうが
洗い張りは今はお店に出してやってもらうのですね。
それを知らず、この本のように家でやったと思い込み、
今時そんな家もあるのかと、とても驚いたのです。
洗い張りをする、着物を仕立て直す、という響きだけでも
背筋がピンとなり気持ちが引き締まる感じがします。
家族全員の着物姿。
写真館できちんと撮ったら、さぞかしかっこいいでしょうね。
-- 続きを閉じる --