Somewhere Anywhere
日々の雑感を写真と共に
センチメンタルな、東京は、秋の旅 
2009/06/05 Fri. 22:45 [edit]

三菱アルティアムで開催中「20周年記念展」の荒木経惟のブースは
「センチメンタルな旅・冬の旅」の写真です。
カメラをまっすぐ見つめる妻・陽子さんの写真。
その隣には、ひとりで遊ぶチロ。
陽子さんとチロが交互に並んでいました。
でも手元に置くにはつらすぎた。
代わりになるものは、と見つけたのが「東京は、秋」です。
左ページには1972年から73年にかけての東京の写真。
右ページには10年後にそれを見ながらの写真家と妻の会話。
ここはどうだったとか、今はどうなってるとか、
こういうのが好きなんだとか、よく分からないとか、普通の会話。
こういう風に写真を見ながら雑談ができる幸せと、
それがもう過去の事になってしまったと知って見る切なさと、
どちらを強く感じるのかは読者の今の状況によって揺れるのでしょう。
情感の薄い写真(だと私は思いますが)なのに
繰り返して見るたびごとに情の濃度は上がってくる、
それは巻末のアラーキーのつぶやきがあまりにも胸を打つからでありまして。
写真を見ながら話せることは幸せなのだ
あるいは誰かと話したいがために写真を撮ることも素敵なのだ
たまには切なさも伴うけれど
category: 本
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アルティアム20周年 »
コメント
naomiさん、過日は「東京は、秋」を貸して下さいましてありがとうございました。
私にとっても、気持ちが込み上げてくる1冊です。
巻末の言葉には胸がわなわな。
何気ない普段着の会話に、魂の攪拌、融合が
あるのかもしれない、とも感じました。
ふつうであること。そのときはわからないけれど、
時間がたってそれが輝いて見えるような気もします。
写真は、やっぱりそのむこうに「誰かがいること」だと思います。
共感したい、話したい、伝えたい。
誰かの写真を見て、その人の世界に触れてみたい云々。
akiyasu_sukiyasu #TJwWj8Lg | URL
2009/06/07 02:19 | edit
この本の魅力のひとつは自分もすぐ隣で聞いている気がする所かしら。
写真(映像)と会話(台詞)でショートフィルムを見てる感覚にも近いかな。
写真集を見ていると、二人のあたたかい時間がこちらまで
じわーっと伝わってくるようなんですよね。
自分も二人の隣に座っていれば温かな気持ちになるし、
でも自分を離れた所に置いて遠くから二人を見ると切なくもなるし。
akiyasuさんが今撮られているたくさんの品々。
今の形は消えてもakiyasuさんの手が別の形に変えてしっかり残しているんですよね。
10年、20年先に皆さんと一緒にワイワイ思い出を語っている場面を想像すると楽しみではないですか?
共有、共感、共鳴、共に楽しみたいですね~
そして、たまに共涙もありかな。
naomi #3un.pJ2M | URL
2009/06/08 22:19 | edit
実は、うちの相方と初デートで行ったところが、
アラーキーの「センチメンタルな旅」の写真展なのでした。
(写真の事なんて何も知らなかったけど、
とりあえずやっていたので行ってみた感じ。)
でも行ってみると、写し出される
切なすぎる現実、真実の重さに涙していました。。
懐かしい青春時代の思い出なのです。。。
空の書斎 #sSHoJftA | URL
2009/06/09 02:08 | edit
空の書斎さん
素敵な告白、ありがとうございます^^
初デートでアラーキーの写真展とは、なかなか濃いでございますね。
オネイチャンばかりの妖しい写真展じゃなくて良かったと思います(笑
最初がこれだったら、とづま様にもかなりの印象を与えたんじゃないでしょうか。
あの写真を撮っている時のアラーキーの気持ちを思うとほんとうに辛くなりますね。
チロの無邪気さがまた余計に悲しくなる…
何度も繰り返し出てくる表紙にもなっている女の子の看板。
マンガっぽいけど猫を抱いていて。
あれは日常(現実)のメタファーなんでしょうね。辛い病院通いの。
若い書斎青年の写真観もそれから変わったのかしら~
naomi #3un.pJ2M | URL
2009/06/09 23:58 | edit
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