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日々の雑感を写真と共に

春江花月夜  

書展に出している詩です。

sakura112.jpg


春江潮水漣海平
海上明月共潮生
灔灔隨波千萬里
何處春江無月明
江流宛轉遶芳甸
月照花林皆似霰
空裏流霜不覚飛
汀上白沙看不見


春の川に満ちている潮は海まで平に連なり
名月が海上に潮が満ちてくると共に出てきた
波に映った光は遙か彼方まで続き
春の川のどこに光が届かぬ所があろうか

川の流れは花の咲く野原を緩やかに曲がり
月は美しい花の咲く林を照らしてまるで霰のようだ
空中を飛ぶ霜はこの月明かりにまぎれて分からず
汀の白砂は月明かりの白さかどうか看ようとしても見えない


「春江花月夜」
このタイトルを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。
以前の書展でも後半の一部を書いて <こちら> で紹介した事があります。
この詩はもっと長くて今回書いた部分は全体の1/4ほどです。

作者の張若虚は初唐の代表詩人で、これほどの美しい詩を作りながらも
残っているのはたったの2篇だとされています。
「春江花月夜」は2000年近い時を生きた、まさに不朽の名作ですね。

詩形は律詩や絶句が現れる前の古詩(七言古詩)で
「春江花月夜」は楽府題のひとつ。
まず曲があってそれに詩を付けて作られた歌、民謡を「楽府」といい
楽府(曲)のタイトルを楽府題といいます。
つまり上の詩は「春江花月夜」というタイトルを拝借して作ったということになります。

でももし「春江花月夜」という曲に惹かれて作ったんだとしたら
と想像したくなります。
こういう詩が付けられるくらいだから抒情的な美しい曲だったでしょうね。

category: 書展

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